左右反転
左右反転
平面図を描いている。
いろんな可能性をチェックするために、時々やる事ではあるが、左右を反転してみると、あら不思議。今まで描いたものを単純に反転させたものとは思えない、全く違う平面図がそこにあるのだ。CADで描いた図面を反転コマンドで鏡像にしても、トレペに描いた図面を裏から見ても、結果は同じ。誰か別のヒトが描いた図面のようにしか見えなくなるのはどうしたことか。
左右対称を理想とし、厳格に守り続けようとしたあちらの国の配置・平面計画では、上記の事は意識にのぼってこなかったろうが、この国の、特に住宅は、伝統的に非対称性の扱いを創造の契機として来た。くねくねと増築を重ねる桂離宮のような建築の背後にある美意識が、それを顕著に表している。非対称に磨かれた形は、反転させると意味まで変わるのだ。
龍安寺のような禅庭に特徴的に見られるのは、漢字の「一」を描くように、左から右への動き・流れが庭全体の構成を支配している事だ。そういえば「バーや喫茶店のカウンターでも、左から右への流れが自然な店は居心地が良い」という事を数寄屋の棟梁に教えてもらったことがある。
平面図を描くときは、図面と自分を一体化し、左から右への流れを無意識に身体化しているのかもしれない。だから、反転してしまうと馴染み無く、見馴れない図面に変身してしまうのだろう。
左利きの人はどうか。左から右への流れは、同様に有効なのか。右利き・左利きはバーカウンターに並び、同じ方向を見ながら気持ちよく飲めるのか?あるいは、テーブルで向かい合って飲めば、相性ピッタリになるのか?
さっそく試してみよう。
2009年7月16日木曜日